乳歯の虫歯を放置すると何が起こる?
日本人の虫歯は年々減少する傾向にあり、大人になってから虫歯になったことがないという方も少なくありません。けれども、小児期はほとんどの人が虫歯を経験します。それは乳歯が永久歯よりも虫歯リスクが高いからです。そんな乳歯の虫歯を放置すると何が起こるかご存知でしょうか。
▼乳歯の虫歯はあっという間に進行します
大人の虫歯は数ヶ月、場合によっては数年かけて進行することもありますが、乳歯の虫歯はもっと早いです。乳歯はいつか永久歯に生え変わるもの、と軽視しているとあっという間に歯髄炎を引き起こし、抜歯を余儀なくされることも珍しくありません。永久歯であれば歯を失ったあとにブリッジやインプラントなどを装着することになりますが、成長期にそうした固定式の装置が使えないことから、永久歯が生えて来るまで何もできないことも多いです。
▼乳歯が早期に抜けると起こること
虫歯で乳歯を早期に失うと、欠損部が次第に塞がれていきます。その結果、永久歯が生えて来るためのスペースが不足して歯並びの悪化へとつながるのです。デコボコの歯並びや出っ歯は、そうした理由から生じることも多々あります。スペースが完全に塞がれてしまうと、永久歯がまったく生えてこなくなることさえあるのです。
▼虫歯以上に深刻な病気を引き起こす
虫歯菌の感染は、エナメル質から象牙質、歯の神経へと徐々に進行していき、最終的には歯の根の中を汚染しますよね。そこで根管治療や抜歯という処置を施すことで病気の進展を防ぐことは可能となりますが、それでもなお虫歯を放置すると、次に現れるのは「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」という歯の根の先の病気です。
歯の根っこの先端には小さな穴が開いており、そこから細菌などが漏れ出て、膿の塊を形成するのです。そして、すぐ下に控えている永久歯の発育や萌出を阻害し、ケースによっては顎骨骨髄炎にまで進展することもあり得ます。それだけに、乳歯の虫歯は重症化させず、できるだけ早期に治療を受けた方が良いといえるのです。
今回は、乳歯の虫歯を放置すると何が起こるのかを時系列に沿って解説しました。大まかな流れは通常の虫歯と同じですが、すぐ下に永久歯が控えていることを忘れてはいけません。これから60年、70年と使い続ける大切な永久歯が生えて来る前にダメージを受けるようなことは絶対に避けるようにしましょう。そのためには小さい頃から定期検診を受け、虫歯の予防、早期発見・早期治療に努めることが何より重要といえます。